年金の受け取り時期が遅くなった影響もあり、かつて高齢者と呼ばれた年齢層も積極的に働く時代である。65歳以上の就業率は年々増え続け、その数は就業者割合の調査結果において全体の10%を超えている。今や高齢者は国の労働力の大きな柱のひとつとなっているのだ。
60歳以上を対象とした派遣会社も増えており、今まで培ったスキルや得意な分野への就業を中心に働く手助けをしている。こうした動きの中、注目されているのが介護業界である。自分の親の介護経験などがある女性を中心に就業者が増えているのだ。介護業界で定年を廃止しようとする動きがあるのも追い風になっている。今後介護を補助する機械やロボットの導入が進めば、更に長く働きやすい職場となっていくことが期待できる職種と言えるだろう。
介護の仕事は体力が絶対必要と思われがちだが、常に人材不足が問題となるこの業界では体力仕事以外にも必要とされる業務は沢山あるのだ。例えば要介護者に対する語りかけや散歩の補助など、相手の気持ちに寄り添うような優しさが求められる場面では、高齢者の方が向いていると言える。要介護者も自分の子供のような年齢の職員に安心感を覚えるのだ。また、働きたいと思っても年齢を理由に安い賃金や不利な条件を突きつけられるケースも多い中、介護職は他の職種に比べかなり良い条件で働くことが可能なことも多い。定年後に働き始めてから仕事にやりがいを感じ、60歳を超えてから介護資格の取得を目指す人も増えてきているのである。